2005年12月06日

姉歯建築士による構造計算書の偽造 〜意匠重視・構造軽視の風潮〜

姉歯建築士による構造計算書の偽造問題が世間を騒がせています。

私は、こういった問題が起こる背景には、日本社会が抱える様々な問題が根底にあるような気がしています。

今後、数回に分けてこの問題について考えていきたいと思います。


◆意匠重視・構造軽視の風潮

まずは、建築物の設計というものについて考えてみたいと思います。

建築物の設計は、構造の設計意匠の設計とに分けることができます。
意匠設計とはいわゆるデザインの設計です。
構造設計とは、建物が地震に耐えられる十分な強度の構造になるように設計をするもので、今回問題になっているところです。

意匠と構造、建築物の基本性能を考えるうえで、本質的にどちらが重要かは議論するまでもないでしょう。
極端な話、マンションの外観などのデザインの設計は、耐震強度などといった建築物の基本性能をクリアしたうえで考えればよい問題のはずです。

しかし、一般的に建築主(施主)は、建築物のデザインなどといった意匠の設計には莫大な費用をかけ、その価値を認めますが、構造の設計には費用をかけないといった具合に、意匠重視・構造軽視の傾向があるように思います。

○○建築士など世界的に有名な建築士は、みなそのデザインの優秀さで評価をされています。
施主も、そういった著名な建築士の描くデザインには莫大なお金をかけるのです。
ところが、例えば「○○建築士の構造計算は素晴らしい!」などと取り上げられた話はあまり聞きません。(もちろん著名な建築士は構造設計で手抜きをすることなどあろうはずもありませんが・・・)

これは、世の風潮が優れた意匠設計は評価するが、優れた構造の設計はそれほど評価するわけでもないということを意味しているのです。

もちろん、建築について素人である一般人が「プロが設計している以上、構造に問題があるわけがない」と思うことが悪いと言っているわけではありません。ただ、構造設計の重要性を忘れてはいけないと言っているのです。


素人ではチェックのしようのない構造設計。
この部分で問題が発生しないように、日本では国家を旗頭としてチェック機能を構築してきました。地震の多いお国柄、当然の措置と言えましょう。

しかし、今回の事件はそのチェック機能が麻痺していることを証明してしまいました。


この日本社会のチェック機能の脆弱性、そしてこれまでお話してきた意匠重視・構造軽視の傾向は、一般のマンションでも例外ではないということを、次回以降お話していきたいと思います。
posted by きむたろ at 08:57| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(4) | 不動産 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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