2005年06月06日

成年後見制度の手続き緩和

厚生労働省は3日、市町村長が身寄りのない高齢者に成年後見制度に基づく後見人を立てる場合の要件を、大幅に緩和することを決めた。
埼玉県富士見市で認知症(痴呆)の老姉妹が業者に高額の住宅リフォームを繰り返されて全財産を失うなど、高齢者などの財産や人権が侵害されるケースが増えているためだ。現在は4親等以内のすべての親族の存在を確認することが条件とされているが、2親等までに簡略化する方針。市町村の負担を大幅に軽減し利用者の拡大を図る。 【読売新聞】


以前(5/30)にも述べましたが、成年後見制度では、身寄りのいない高齢者などのために市町村長が成年後見の申立をすることができるとされています。
しかし、現実には市町村長による申立は2003年度で437件(最高裁事務総局調べ)で、制度利用者全体の約2・5%にとどまり、あまり利用されていないのが実情です。

これは、成年後見の申立は、原則として「配偶者」や「4親等内の親族」がすべきであり、「市町村長」による申立は例外措置とされているためです。

具体的には先の記事にあるとおり、「4親等以内のすべての親族の存在を確認する」というものです。「これらの親族がいるか確認し、誰もいないのであれば市町村長が申立をしましょう」ということです。

では、4親等内の親族とは何でしょうか?

「親等」の計算方法は、民法726条(※詳細追記)に定められています。
詳細はまた別の機会にご紹介しますが、「4親等内の親族」には、おいやめいの子供、いとこ、ひ孫の子供まで含まれます。

普通、ここまで遠縁の親族となると「知らない人」なのではないでしょうか?

従来の成年後見制度は、このような通常会ったこともない遠縁の親戚まで調べて、それでも誰も親族がいない場合に限って、市町村長の申立ができるというものなのです。

今回の厚生労働省の決定は、こうした「不都合」を改善するものです。
2親等以内の親族とは、兄弟や孫までです。
これらの親族が誰もいなければ、市町村長が成年後見の申立をする要件が整います。

今後、市町村長による成年後見の申立が増え、身寄りのない高齢者の保護が進むかどうかは、こうした成年後見人による保護を必要としている人の存在を行政サイドがいかにして把握し、成年後見の申立を行うかといった、運用面の整備にかかっています。

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posted by きむたろ at 08:37| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(2) | 成年後見制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月30日

成年後見制度とは?(その2)

今回は、前回(5/26)に引続き成年後見制度についてです。

前回は、成年後見制度のうち「法定後見制度」についてお話をしましたので、今回は任意後見制度についてです。


両者の違いは、今現在の本人の状態です。


法定後見制度は、今現在、本人の判断能力になんらかの問題が生じている場合に利用するものです。今すぐにでも後見人などの代理人を必要としている人のための制度なのです。

この制度では、本人がすでにぼけてしまっているために、自分で裁判所に申立をすることができません。親族など周りの人が申立をしてあげなければ、今回の富士見市の姉妹のようになってしまいます。

こうした場合は、代わりに市町村長が申立をすることができるわけですが、この制度はさほど利用されていないようです。ここに改善の余地があります。


これに対し任意後見制度とは、本人がぼける前の今のうちに、「将来」ぼけるなど判断能力に衰えがでてきた時に備えて、支援してくれる人(後見人)や支援内容(財産の管理方法)を、本人が自分の意思で決めておくものです。

具体的には、本人が将来支援をしてくれる人(任意後見人)と任意後見契約を公証人役場で締結し、家庭裁判所に申立をします。

この制度は、本人の判断能力が衰える前に、自分自身で後見人や財産管理方法を決めておくことができるため、法定後見制度と比べると本人の意思を尊重することができ、なおかつ必要な保護も受けられます。

今はまだ任意後見契約を結ぶことは少ないのですが、広く世間に周知することにより、普及していくといいですね。
posted by きむたろ at 22:55| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 成年後見制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月26日

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、判断能力が不十分なために、財産侵害を受けたり、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、法律面や生活面で支援する仕組みのことを言います。昔、「禁治産・準禁治産」とよばれていた制度を改正して新しく作られた制度です。

具体的には、成年後見人などの代理人を裁判所に選任してもらい、この成年後見人が本人の代わりに契約などの手続き(法律行為)を行ったり、本人がなにもわからずに締結した不利な内容の契約を取消したりします。

今回の埼玉県富士見市の姉妹の場合、成年後見人が選任されていれば、悪徳業者にだまされて本人が契約をしてしまったとしても、この成年後見人が取消をしてしまえば家を競売にかけられることもなかったはずなのです。

ちなみに、後見人には、未成年者で父母など親権者がいない場合の未成年後見人というものもありますが、こちらは成人なのか未成年なのかで区別されます。

どちらにも共通していえるのは、支援を必要とする人(被後見人)の能力をできる限り活かしながら保護・支援していこうというものです。


成年後見制度には以下の2つの種類があります。

1.法定後見制度
2.任意後見制度

今回は、1の法定後見制度について解説します。

これは、本人が「現在」すでに判断能力が衰えていて、すぐにでも支援が必要な場合の制度です。この法定後見制度は、本人の判断能力の衰え具合に応じて3つの類型があります。

@後見類型
 判断能力が非常に減退しており、ほとんど判断できない状態の場合適用されます。一番症状が重い場合の類型で、裁判所によって選任された「後見人」がすべての法律行為を行います。今回の富士見市の姉妹の場合はこちらにあてはまります。

A補助類型
 判断能力が著しく不十分という言い方をするのですが、しっかりしている時もあるけど判断能力がかなり衰えている場合の類型です。法律で決められた重要な法律行為を行う際、裁判所によって選任された「保佐人」が、本人に同意したり、取消をしたりします。後見人と比べると、本人が独りで行うことができる法律行為が広がります。

B補助類型
 判断能力が不十分という言い方をしますが、少しぼけてきたかなといった場合の類型です。裁判所に「補助人」を選任してもらい、あらかじめ申立しておいた「特定」の法律行為をする場合に限り、この補助人に代わりに行ってもらうのです。「特定」の法律行為とは、例えば「借金をすること」などです。この類型が法定後見制度の中では一番症状が軽い場合の類型です。

任意後見制度については、また次回以降にお話します。
posted by きむたろ at 22:52| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(1) | 成年後見制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月25日

認知症姉妹と悪徳業者

埼玉県富士見市に住む80歳と78歳の認知症(痴呆症)の姉妹が、3年間で4600万円以上の住宅リフォーム工事契約を訪問業者16社に結ばされ、全財産約4000万円を失った上、約700万円の未払い代金のために今年3月、自宅を競売に掛けられるという事件がありました。

こうした事態をうけ富士見市は、裁判所に対し競売中断を申し立て、業者に工事費返還をあっせんするなどの救済に乗り出し、県も高齢者の訪問販売のトラブル解決に向けて動き出しました。


認知症(痴呆症)で物事の判断能力がない高齢者に群がる悪徳業者には本当に怒りを覚えます。

このような高齢者など、物事の判断能力を失ってしまった人を守る手段として、民法は成年後見(※詳細追記)という制度を用意しています。

この制度を利用するには、本人・配偶者・4親等内の親族、あるいは保護すべき人に身寄りがいない場合には市町村長が、家庭裁判所に対して、成年後見人の選任を申立する必要があります。
しかし、今回の姉妹のような場合、本人が申立手続きをできるはずはなく、また配偶者や面倒をみてくれる親族がいなかったがために悪徳業者の餌食になってしまったわけです。

つまり、本当にこの成年後見制度を利用しなければいけないような人に限って、申立をしてくれる人がいないのです。
ここに大きな問題があります。


また、「悪質な訪問販売業者は処罰すればよい」という考え方もあるでしょう。
特定商取引法という法律では、こうした悪徳業者に対し、訪問販売業務の全部か一部を停止させる業務停止命令を出すことができるとされており、契約書類に虚偽記載があれば100万円以下の罰金となることもあります。

しかし、この法律も被害者が知らなければ意味がなく、また悪徳業者は架空名義を使っていたりして業務停止命令など怖くもありません。
このような法律は、まっとうな業者をしばることはできますが、悪徳業者にはあまり意味がないのです。

あとは、刑法の詐欺罪・準詐欺罪で罰するほかないでしょう。


このように、法律・制度の不備、運用上の欠点を悪用する悪徳業者をのさばらせないためになにか良い方法はないでしょうか?

ご意見お待ちしています。
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posted by きむたろ at 23:58| 東京 ☁| Comment(4) | TrackBack(7) | 成年後見制度 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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